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リファイニング建築
Project Story
2024年01月16日

リファイニング建築

従来の増改築とは異なり、老朽化した建物の80%を再利用しながら、

建て替えの60~70%のコストで大胆な意匠の転換や用途変更、耐震補強を可能にする建物の再生技術。

工期を削減できるメリットもある。

また、内藤建設株式会社は「リファイニング建築・都市再生協会」に加盟しております。

詳細は以下のURLよりご覧ください。

https://refining.or.jp/

▼リファイニング建築 実例

・内藤建設株式会社 大垣支店

【リファイニングを選択する理由】

~創業75周年を迎える内藤建設株式会社(旧内藤組)の創業時の先達が遺したレガシーを継承する~

岐阜県大垣市に存在するこの内藤建設大垣支店は、1967年(昭和42年)に建設され、型枠大工として出発した内藤建設の前身である内藤組 の創業時の先達が建設した建物である。現在築53年を経過し来年2022年には創業75周年を迎えることとなる。建物は鉄筋コンクリート造地上 4階建で大垣支店のオフィス、そしてその社宅として利用されてきたが、建物の老朽化に伴ってこの設計を受ける当初は大垣支店のオフィス として1階のみ使用され、オフィス以外の上層階については全て使用されていない状態であった。本年2022年に創業75周年を迎えるにあたり 内藤建設のレガシーを継承するという目的、さらには今後の内藤建設にとっての再生建築プロトタイプとするべくこの大垣支店のリファイニングプロジェクトがスタートした。

▼既存建物の潜在能力

この地域は第一種住居地域で、低層の戸建て建物が立ち並ぶ住宅街となっており、南側道路を挟んで小学校が存在するものの、その中でも際立って存在感を示しているのがこの大垣支店である。これは建設当初日影制限が存在しなかったため4階建てが適法の中で建設された。つまり集団規定日影制限の既存不適格建築物となっており、現行法で現在の配置では2階建までが限界となる。そのことで既存建物の上層階 及び屋上からの眺望は現行法での設計では得られない特別なものとなっている。そのほか階高、屋外廊下の面積が床面積に含まれていたこと が計画上有利な要素となった。

▼検査済証のない既存建物の建築確認申請

今回のリファイニング計画では増築と大規模の模様替にて建築確認申請を行うことになるが既存の建物には検査済証が存在していない。その場合、国土交通省が平成26年に公表した「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のための ガイドライン」に基づき、建築基準法の適合状況の調査を行うこととなる。これはリファイニング建築では恒例の、既存設計図書の情報収集・整理、既存図の復元、構造調査、図面と現地との照合、建設当初における既存建物の法チェック、不適合箇所の是正計画等を行わなければ ならない。そしてようやく設計に入ることが可能となる。ただ経験上集団規定に違法箇所が無い限り問題なく進行可能と判断できた。

▼既存不適格建物の増築 許可申請

前述した集団規定日影制限の既存不適格建築物の増築によって法56条の2第1項但し書きの規定による許可申請が必要となる。今回の場合は 大垣市建築審査会が発行している「建築基準法の規定による許可に係る包括同意基準」に従い計画し許可を得ることができた。

▼耐震補強

基本設計ではRC造門型フレームによる補強の検討を進めていたがコストの問題が大きくのしかかり結果現状の計画に落ち着く形となった。 RC雑壁撤去による軽量化、袖壁補強、柱増し打ち補強によりプランに規制のない補強計画とし、今回の特徴としては南側バルコニー面は 住環境を考慮し開口率を高くするために袖壁補強を廃し柱の増し打ち補強により耐震性能を確保した。その柱補強が1階~4階にまで存在 することから平面計画及び立面計画との調整で補強柱位置を決定し木質の仕上げとする事で外観デザインの一部とした。
Is値はY方向は既存状態で全ての階で0.6以上確保されており、X方向は平均値で0.28と不足していた。それを補強によりIs値を0.76とし、全て の階で0.6以上確保することとした。

▼耐用年数推定調査の実施

内藤建設の要望で耐用年数推定調査を実施した。結果として、現況に基づく耐用年数は100年超と評価。

▼リファイニング建築の環境評価

現在、国士舘大学理工学部理工学科建築学系准教授朝吹香菜子先生と学生による環境評価の研究を内藤建設協力のもと進めていく予定で ある。以下企画書抜粋。
ESGの一環として、カーボンニュートラルに向けた取組みが重要視されている。再生建築は、新築と比較して投入資材量や施工時の燃料を大幅に削減することができ、CO2排出量の削減に貢献する取組みであるといえる。再生建築は個別性が高く、これまでに調査された事例も少ないため、そのCO2削減効果については個々に評価する必要がある。そこで本調査は、「仮称)内藤建設株式会社大垣支店リファイニング工事」について、設計・資材製造・建設・運用・廃棄段階におけるCO2排出量を算出する。そして、仮に既存建物を全て解体して新築した場合と比較することにより、建築再生によるCO2・廃棄物排出量削減効果を算出することを目的とする。

▼室内化と室外化

(室内化)
・バルコニーの一部を室内化。50㎡以下かつ1/20以下の増築
・共用屋外廊下を室内化。もともと床面積に入っていたためその潜在能力を利用。
(室外化)
・MB、PSを外部に配置。

▼平面計画~立体計画

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