工場清掃の外注費用を正しく理解する実践ガイド
この記事のポイント
- 工場清掃の費用は「日常清掃」と「定期清掃・スポット清掃」で考えると整理しやすく、日常は月数万円~、床洗浄やエアコン洗浄などの定期清掃は1回数万円~が相場の目安になります
- 正直なところ、見積書の「総額」だけを見て安い・高いを判断すると失敗しやすく、清掃費のコスト構造(人件費・資機材費・管理費など)を理解しておくと、”どこまで価格交渉できるか””どこは削ってはいけないか”が見えてきます
- 迷ったら、「①自社で必要な清掃範囲と頻度を整理する」「②年額ベースで複数社の見積もりを比較する」「③清掃を外注する部分と自社で行う部分を切り分ける」という3ステップで考えるのがおすすめです
今日のおさらい:要点3つ
- 夜、机の上に並んだ3社分の見積書を見比べ、「総額はA社が一番安いけれど、”工場内一式”の一言だけで、本当にやってほしい場所が含まれているのか分からない」と、小さな文字の但し書きを何度も読み返してしまう
- 「工場 清掃 費用 相場」「工場 清掃 外注 いくら」と検索して、オフィスの料金表や床洗浄の単価表をいくつも開きながら、「うちの工場の油と粉塵まみれの床は、この相場に当てはまるのだろうか」と、画面と現場の差を頭の中で埋めようとして目が冴える
- 予算会議で「清掃費をもう少しだけ抑えられないか」と言われ、頭の中で現場の床や排気ダクトの様子が次々に浮かぶ。「ここを削ったら、あのトラブルがまた起きるかもしれない」と想像しながらも、はっきりと言い切れない自分に、心の中で小さくため息をつく
この記事の結論
一言で言うと「工場清掃の外注費用は、”清掃範囲・作業内容・頻度・広さ・汚れ具合”の掛け算で決まり、相場の数字だけではなく”何をどこまでやってこの金額か”を確認しないと、適正かどうか判断できません」です。
最も重要なのは、「日常清掃(毎日~週数回)」と「定期清掃(床・高所・空調など)」を分けて考え、年間いくらまでなら投資できるかを決めたうえで、清掃業者と”範囲と頻度の設計”から一緒に進めることです。
失敗しないためには、「①総額だけで安さを判断しない」「②明細に”○○一式”が残っている部分は必ず質問する」「③人件費以外の部分(頻度・範囲・清掃機械活用)でコストを調整する」という視点が欠かせません。
工場清掃の費用相場と内訳の考え方
日常清掃の目安 ― 月数万円~、年間では数十万~数百万円
一般的なオフィス・事務所の日常清掃の相場では、週1回は月額15,000~30,000円前後、週5回は月額55,000~150,000円前後といったレンジが紹介されています。
また、100~300㎡程度のオフィス清掃を業者に依頼した場合、100㎡未満は年間約75万円~、300㎡程度は年間約160万円~、600㎡以上の大規模オフィスは年間約300万円~が一つの目安とされています。
工場の場合は、油汚れ・粉塵・金属粉などで汚れやすく、床や設備の状態によって作業時間が変動しやすいため、そのままオフィス相場を適用できるわけではありませんが、通路・事務所・共用部などはオフィス相場に近いレンジ、生産ライン周りの床・設備周りは、汚れや安全性を踏まえた上乗せで見積もられるケースが多いのが実情です。
内藤建設がサポートした工場案件でも、工場全体(約2,000㎡)のうち、日常清掃として事務所・トイレ・食堂など約400㎡、工場の通路・休憩スペースなど約600㎡を外注し、生産ライン周りは自社作業で運用する構成にすることで、年間の外注費用と安全性のバランスを取ったケースがあります。
正直なところ、「全部外注か全部自社か」の二択ではなく、エリアごとに役割分担を決めるのが現実的です。
定期清掃(床・高所・設備)の目安 ― 1回数万円~
会社清掃の料金相場では、定期的に行う床や設備の清掃について、床洗浄は1回15,000円~、ワックスがけは1回20,000円~、カーペット洗浄は1回25,000円~、窓ガラス洗浄は1回20,000円~、業務用エアコン(1基)は1回35,000円~といった価格帯が示されています。
工場向けでも、床の機械洗浄・油取り、高所の梁や照明・ダクト清掃、排気ダクト・フード・配管周りの清掃などを「月1回~数ヶ月に1回」「半年~年1回」といった頻度で依頼する場合、1回あたり数万円~数十万円単位の見積もりになることが一般的です。
ここで効いてくるのが、「機械清掃をどこまで活用するか」です。清掃機械メーカーの試算では、100㎡の床掃除を手作業のモップで行うと約60分、床洗浄機(スクラバー)を使うと約5分とされており、所要時間が10分の1以下になることが示されています。
さらに、1,500㎡の工場で人手清掃とスクラバー清掃の5年間コストを比較した事例では、人手清掃は5年間で約1,800万円、スクラバー導入は5年間で約395万円と試算されており、年間281万円のコスト削減につながったとされています。
「なお、費用を考える上で、人の手で清掃をする場合も、人件費というコストがかかっていることを考慮する必要があります。」
内藤建設の現場でも、「最初は清掃機械が高く見えたが、3~5年のトータルで見ると人手より安くなる」「夜間作業の時間を減らせることで、残業コストと安全面が改善した」という声をいただくことが増えています。
費用の内訳 ― どこが”動かせる”コストなのか
清掃費のコスト構造を解説した資料では、清掃費は主に直接人件費(作業人数×時間単価×稼働時間)、資機材・消耗品費(洗剤・ワックス・モップ・パッド、清掃機械の部材・保守など)、管理費(作業計画・報告書作成、求人・研修費、制服・交通費など)、本社間接費・利益(利益・リスクバッファなど)で構成されると説明されています。
自治体の「清掃業務委託料算定要領」でも、直接人件費は清掃員数×標準歩掛り×清掃面積×日数(または回数)、直接物品費は直接人件費×物品費率(4~6%程度)といった形で算定されることが示されています。
ここから見えることとして、単価の大部分は人件費なので、「同じ範囲・同じ頻度」で大きく値切るのは現実的ではない、コストを動かしやすいのは、作業範囲(どこまでやるか)、作業頻度(何回やるか)、清掃方法(手作業か機械を使うか)の3つであるという点があります。
正直なところ、「人件費だけを削る交渉」は、現場の品質と安全を下げるリスクが高くなります。逆に、「範囲と頻度」「機械導入」で設計し直すことで、コストと品質を両立しやすくなります。
現場事例 ― 「外注費用」と向き合った内藤建設の実感
事例①「全部自前から一部外注に切り替えた工場」
岐阜県内の製造工場で、清掃をすべて自社で回していたケースです。
現場スタッフが終業後30~40分かけて床・通路・休憩室を清掃していました。生産が立て込むと、どうしても掃除の時間が削られていました。床の油じみや埃が目立ち、安全面と印象の両方が課題になっていました。
工場長は「正直なところ、”清掃も現場の仕事”という意識はある一方で、残業が続くとやっぱり優先順位が下がっていました」と述べていました。
見直しとして、工場全体のうち、事務所・トイレ・食堂などの共用部を外注し、生産ライン周りの安全に関わる部分は自社で日常管理という役割分担に変更しました。外注費用は共用部合計で年間80~100万円程度(週5回+月1の定期床清掃)でした。
結果として、現場の負担は1日あたりの清掃時間が10~15分程度に圧縮され、共用部は常に一定レベルの清潔さを維持するようになり、現場は「安全に直結する清掃」に集中できるようになりました。
工場長は「実は、外注費用を聞いたときは高く感じました」「でも、現場の残業とヒヤリハット、クレームリスクを考えると、”ここはプロに任せた方が良い部分なんだ”と納得できました」と述べています。
事例②「相場より安い見積もりで、結果的に高くついたケース」
別の工場では、A社・B社・C社の3社から工場清掃の見積もりを取得し、C社の見積もりが他社より20%ほど安く、「コスト重視」で決定したという経緯がありました。
C社見積もりでは、作業内容は工場床一式清掃(週3回)で、金額は他社より年間で30~40万円安いものでした。
運用開開後、実際の作業範囲は、通路中心で、設備周りの油じみや粉塵は「別途相談」、月1回と聞いていた機械洗浄は、「汚れの状況に応じて」とあいまいなものでした。結果として、半年後に別途スポット清掃を依頼することになり追加費用が発生し、汚れが蓄積して、1回あたりの作業時間が長くなってしまいました。
担当者は「よくあるのが、”一式”と書かれた項目に救いを求めてしまうことです」「実は、そこに一番大事な差が隠れているんだと痛感しました」と述べています。
学びとして、相場より安いと感じたら、「なぜ安いのか」を内訳から確認することが重要です。特に工場は、油・粉塵・高所・設備周りなど、追加料金が発生しやすい箇所を事前に洗い出しておく必要があります。
事例③「清掃機械導入で、5年間のトータルコストを抑えた工場」
清掃機械メーカーの試算では、1,500㎡の工場で手作業とスクラバーによる清掃を5年間比較した結果、手作業は5年間で約1,800万円、スクラバー導入は5年間で約395万円となり、5年間で約1,405万円(年間約281万円)のコスト削減になったとされています。
内藤建設が関わった工場でも、床清掃を週5回、2人×1時間を手作業で実施していた状態(年間の人件費換算はざっくり数百万円規模)から、床洗浄機を導入し、1回あたりの作業時間を1時間から15分程度に短縮し、清掃は1人で対応可能にしました。外注業者とも連携し、「日常は自社+機械」「定期の重清掃は外注」という体制に再構築しました。
現場リーダーは「最初は”高い機械を買わされるんじゃないか”と警戒していました」「でも、1ヶ月も経たないうちに、”人手でやるより、こっちの方が体も時間も楽だ”と現場側から言い出したのが印象的でした」と述べています。
正直なところ、「機械導入=追加コスト」と感じがちですが、5年・10年単位で見れば、清掃費の中でもっとも大きい”人件費”を抑える有効な手段になり得ます。
よくある質問
Q1:工場清掃の外注費用は、どれくらいが相場ですか?
A:広さ・汚れ・内容によりますが、100~300㎡程度のオフィス・共用部では年間70~160万円程度が一つの目安とされています。工場の生産エリアは汚れや安全リスクによって上振れすることが多いです。
Q2:見積もりの総額だけで、安い・高いを判断して良いですか?
A:総額だけでは不十分です。作業範囲・頻度・機械使用・追加費用の有無を見ないと、適正かどうか判断できません。
Q3:”○○一式”と書かれている項目はどう見ればよいですか?
A:そのままでは判断できません。具体的な清掃範囲(床・設備周り・高所など)と頻度を確認し、必要なら明細化してもらいましょう。
Q4:清掃費のどこを削ると良いですか?
A:人件費だけを削るのは危険です。範囲・頻度・清掃方法(機械導入)を見直すことで、品質を落とさずにコストダウンする方法が現実的です。
Q5:自社清掃と外注、どちらが得ですか?
A:ケースによりますが、人件費・残業・安全リスク・品質維持コストまで含めて比較する必要があります。共用部のみ外注、生産エリアは自社などのハイブリッドも有効です。
Q6:清掃機械を入れると、逆に費用が増えませんか?
A:導入コストはかかりますが、清掃時間の大幅短縮により、5年間で1,400万円以上のコスト削減効果が試算された事例もあります。広い工場ほど、機械導入の効果は大きくなります。
Q7:見積もりを取るとき、何社くらいに依頼すべきですか?
A:一般的には2~3社が現実的です。条件を揃えたうえで内訳を比較すると、各社の強みや考え方の違いが見えやすくなります。
まとめ
工場清掃の外注費用は、「日常清掃」と「定期・スポット清掃」で構成され、100~300㎡規模で年間70~160万円、600㎡超で年間300万円~が一つの目安とされていますが、実際は汚れやリスクによって大きく変動します。
正直なところ、「相場より安い」見積もりの裏側には、清掃範囲の狭さ・頻度の少なさ・追加料金条件などが隠れていることが多く、総額だけで判断すると、長期的には割高になるケースもあります。清掃費のコスト構造(人件費・資機材費・管理費など)と算定の考え方を押さえておくことで、「どこまでが削って良い部分か」「どこは投資すべきか」の線引きができるようになります。
ケースによりますが、「①清掃してほしい場所と頻度を自社で整理 ②複数社から同条件で見積もりを取得し、年額と内訳で比較 ③人件費を削るのではなく、範囲・頻度・機械導入でコスト構造を見直す」というステップを踏めば、”安いだけで終わらない工場清掃”に近づけます。

