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2026年09月03日

電気設備の浸水対策は何から始める?長期停電で困らない建物改修の考え方

電気設備の浸水対策は何から始める?長期停電で困らない建物改修の考え方

電気設備の浸水が心配な建物は、想定浸水と設備位置を照合し、移設・かさ上げ・止水を比較する

電気設備の浸水対策は、想定される水の高さと設備の位置を照合するところから始めます。受変電設備だけでなく、配電盤、制御盤、配線経路も確認対象です。移設、かさ上げ、止水のどれが適するかは、建物の条件と停電時に残したい機能で変わります。

この記事のポイント

防水扉の製品を選ぶ前に、どこから水が入り、何が停止するのかを整理します。設備の更新時期や搬出経路も含め、長期停電を避けるための改修案を比較する記事です。

今日のおさらい:要点3つ

  • 浸水想定と設備の高さを、同じ基準で比較する。
  • 移設・かさ上げ・止水は、保守と更新の条件まで比べる。
  • 建築と電気の担当者が、隠れた水の経路も一緒に確認する。

この記事の結論

電気室の入口だけを塞いでも、別の経路から水が回り込む可能性があります。受電から重要設備へ至る系統を調べ、浸水を避ける配置と、侵入を抑える対策の組合せを検討します。

設備の位置と止まる機能を見えるようにする

ハザード情報を建物の断面に重ねる

自治体が公表する洪水や内水などの情報を確認し、対象となる災害の種類、想定条件、浸水深を整理します。異なる災害の地図を混同しないことが大切です。そのうえで、敷地の地盤、道路、建物入口、地下階、設備設置面の高さを専門家と照合します。地図の色だけで「この電気室は大丈夫」と結論づけることはできません。

浸水深と設備の高さは、何を基準に測っているかをそろえます。地盤面からの高さと建物の床からの高さを直接比べると、判断を誤るおそれがあります。敷地内に高低差がある場合、搬入口や車路など低い場所から水が集まる条件も調査します。計画に用いる水位の考え方は、設計者から説明を受けて記録してください。

電気室が止まると何が使えなくなるか

受変電設備の停止は、生産設備や照明だけの問題ではありません。給水、排水、通信、入退室管理など、建物を使うための機能にも影響する場合があります。設備台帳に機器名を並べるだけでなく、その設備が停止するとどの業務が止まるかを追います。停電しても業務を継続したい区域があるなら、その前提となる設備も確認します。

国土交通省の建築物における電気設備の浸水対策ガイドラインは、浸水による電気設備の停止と建物機能への影響を踏まえた対策を示しています。資料にある方法を一つ選ぶだけでなく、自施設の配置、利用方法、管理体制に当てはめて検討することが必要です。

図面にない変更と水の通り道を拾う

電気室の扉、換気口、ケーブルの貫通部、隣室とのつながり、床下の経路などを整理します。図面上では壁で囲まれていても、改修後に開口や配線が増えている場合があります。逆に、塞がれているように見える部分も、想定する水圧に対する性能までは外観で分かりません。現地調査で確認する箇所を、建築図と電気図の両方に示します。

地下に設備がある場合は、階段や車路からの流入だけでなく、配管や排水系統との関係も調べます。排水ポンプがあることと、停電時も必要な能力を確保できることは別です。電源、制御、排水先まで一連の経路として検討し、機器単体の仕様で判断しないようにします。

移設・かさ上げ・止水をどう比較するか

移設は設備を水から遠ざける選択肢

上階や別の場所への移設を検討する場合、利用できる面積だけでなく、床への負担、保守スペース、換気、配線距離、搬入出経路を確認します。空き室があるから移せるとは限りません。設備の更新時に搬出できるか、大型機器を運ぶ開口を確保できるかも重要な条件です。

移設後の敷地利用にも注意します。高い場所に移せても、点検者が安全に近づけない配置や、将来の増設を妨げる配置では管理に支障が出ます。移設の利点と追加の建築工事、停電調整の負担を並べて説明してもらいましょう。既存設備の更新が近い場合は、更新と移設を一緒に計画する案も比較できます。

かさ上げは高さ以外の条件も確認する

現在の位置で設備を高くする案では、基礎や支持、設備の高さ、ケーブル接続、点検時の作業性などが課題になります。電気室内の天井高さや扉の大きさによって、選べる方法が制限される場合もあります。床から高くした部分だけを見て、周辺の低い位置にある制御機器や接続部を見落とさないことが大切です。

かさ上げ後も設備の操作や点検が無理なく行えるかを確認します。日常的に使う部分へ届きにくくなる場合は、その対応も設計に含める必要があります。現場で台を追加すれば済むという話にせず、メーカーや電気設備の専門家が認める保守条件を満たす計画として比較してください。

止水は守る範囲と限界を明確にする

扉や開口部の止水は、既存の設備位置を維持したまま対策できる可能性があります。ただし、対象の水位や水圧、取付先の状態、周辺の貫通部、漏水時の扱いまで確認が必要です。止水する開口の数が多い建物では、設置や点検の負担も増えます。製品の性能表示と、実際の建物で確保できる性能を分けて説明してもらいます。

取り外し式の対策では、誰が、いつ、どの情報をもとに設置するかを決めます。夜間や休日に担当者が来られない状況も想定してください。危険が迫ってから現場へ向かう計画にせず、避難を優先できる運用を考えます。常設方式にも維持管理は必要であり、設置したら確認不要という比較にはできません。

改修計画で確認したい工事と管理の条件

停電できる時間から工程を組む

電気設備の工事では、事前調査、仮設、切替、試験などの条件を確認します。休日の短時間だけで完了するかは設備と工事内容によります。施設側は、停められない工程やシステム、保存条件のある物品、関係するテナントを具体的に伝えてください。仮設電源を用意する場合も、その対象と使える範囲は設計者に確認します。

内藤建設のCS事業部は、既存施設の改修やメンテナンスを案内しています。電気設備の浸水対策を相談する際は、設備単独の更新希望に加え、建物の開口や搬出入の条件も示すと、建築工事との調整事項を整理できます。個別の設備設計や対応範囲は、現地条件をもとに確認する必要があります。

複数案は同じ前提で見積りを比べる

想定する浸水条件、守る設備、許容できる停止時間をそろえて比較します。ある案は電気室全体、別の案は受変電設備だけを対象としているなら、金額だけでは比べられません。設計、仮設、既存撤去、復旧、試験、記録整備がどこまで含まれているかも確認しましょう。

工事後は、変更した系統図、設備位置、点検対象、止水設備の管理手順を引き継ぎます。浸水後に設備を再使用できるかは、専門家による点検と判断が必要です。乾燥した外観を根拠に自己判断で通電しないことを、平時の復旧手順にも明記しておくと、担当者交代時の誤解を減らせます。

復旧を早めるための情報も整える

浸水を抑える工事と並行して、万一停止した場合に修理や交換を判断する資料を整えます。盤の型式、製造番号、系統、保守窓口、過去の修理内容が分かれば、専門担当者が確認を進める際の手がかりになります。記録を電気室内だけに置くと同時に失われる可能性があるため、施設の情報管理方針に沿って別の場所からも参照できるようにします。

設備が復旧しても、業務の再開順序が決まっていないと、各部署から異なる要望が出ます。受注、通信、保管、製造などについて、再開したい順序と関連する設備を平時に整理してください。これは通電の操作手順を施設側で作るという意味ではありません。電気の専門担当者が設定する安全な復旧条件と、事業側の優先順位をすり合わせるための資料です。

さらに、移設先へ機器を運ぶ際の経路を、今回の搬入と将来の交換の二通りで確認します。工事中だけ壁を開ければ入る案では、次回も建築工事が必要になる可能性があります。普段の点検通路と大型機器の搬出経路を分けて図示すると、初期費用には表れにくい更新上の違いを比較できます。

よくある質問

Q1. 地下電気室は必ず上階へ移すべきですか?

A1. 一律ではありません。浸水条件、移設先の構造や面積、工事中の停電、維持管理を評価します。移設が難しい場合も含め、複数の対策を組み合わせる案を比較してください。

Q2. ハザードマップの浸水区域外なら対策不要ですか?

A2. 区域外だけで不要とは判断できません。地図の対象災害や想定条件を確認し、敷地の低い場所や排水の状況も調べます。過去の浸水や漏水記録があれば調査時に伝えましょう。

Q3. 非常用発電機があれば電気室の対策は省けますか?

A3. 省けるとは限りません。発電機から給電先までの盤や配線、制御機器が浸水すると、想定した給電ができない可能性があります。電源全体のつながりを確認します。

Q4. 防水仕様の機器に交換すれば十分ですか?

A4. 機器の仕様だけでは建物全体を評価できません。接続部、付属機器、設置条件などを含め、想定する浸水に対応できるかをメーカーと設計者に確認してください。

Q5. 対策工事は設備更新と同時にすべきですか?

A5. 同時施工は比較する価値がありますが、更新時期まで待てるかは別の判断です。現在の危険性と暫定措置を整理し、緊急性の高い部分を先に対応する案も検討します。

Q6. 賃貸建物では誰に相談しますか?

A6. まず所有者や管理会社と、設備の所有・管理区分を確認します。共用の受電設備に関わる場合は他の利用者にも影響します。テナント単独で工事条件を決めないことが大切です。

Q7. 調査前に最低限そろえる資料は何ですか?

A7. 建物平面図・断面図、電気系統図、設備台帳、浸水履歴、停止できない業務の一覧が出発点です。資料がない項目は欠落を明示し、現地調査で補う範囲を相談します。

まとめ

電気設備の浸水対策では、水位と設備位置、侵入経路、停止する機能を一緒に調べます。移設・かさ上げ・止水には異なる条件があり、保守や更新のしやすさも比較が必要です。まずは建物の断面図と電気系統図を並べ、守るべき設備と未確認の経路を整理して専門家へ相談しましょう。

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